「外国人採用にあたって注意点が知りたい」
「今まで外国人を雇用した経験がなく、どのような準備が必要かわからない」
日本の少子高齢化による労働人口の低下と反比例するように、外国人労働者数は年々増加しています。
採用活動につまずき、外国人採用を検討し始めている企業の方もいるのではないでしょうか?
しかし、初めての外国人採用にはハードルの高さを感じたり、自社で受け入れが可能なのかと不安な方もいるでしょう。
この記事では外国人採用のメリットやデメリット、採用活動における注意点を解説します。
1.人手不足に悩む企業は外国人採用も検討しましょう
採用活動がうまくいかず人手不足を解消できないと悩んでいる企業は、外国人採用も選択肢として検討してみてください。
ここからは国内の外国人採用数の推移、外国人採用と相性の良い職種について解説します。
- 外国人採用の需要は年々上昇
- 外国人採用が向いている職種
(1)外国人採用の需要は年々上昇
厚生労働省の発表によると、外国人雇用者2023年10月末時点で200万人を超えています。(【参考】「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】 (令和5年 10 月末時点)-厚生労働省)
2008年は48万6千人だったことを考えると、15年間で4倍に増加していることがわかります。
国内での外国人採用需要は年々上昇しており、労働人口が減少傾向にある日本にとって外国人は貴重な労働力となっています。
(2)外国人採用が向いている職種
厚生労働省の発表によると、特に以下の業界で外国人労働者が多い傾向にあります。
- 製造業
- サービス業
- 卸売業・小売業
- 宿泊室・飲食サービス業
- 建設業
製造業や建設業などは言語力よりも技術が重視されることから、外国人からも人気の業界となっています。
また、インバウンド需要の増加により多言語対応が必要とされているサービス業、ホテル業界も外国人採用と相性が良い業界といえるでしょう。
人手不足で悩む中小企業がとれるほかの対策は、こちらの記事でまとめています。
2.外国人採用のメリット
企業が外国人を自社に採用するメリットを4つ紹介します。
- 年齢の若い人材を確保しやすい
- 地方でも求人への応募が多い傾向がある
- 助成金を利用できる
- グローバル化・インバウンド対策になる
(1)年齢の若い人材を確保しやすい
日本にやってくる外国人は年齢が若く、働く意欲に溢れている人材が多いです。
若く伸び代の多い若い外国人を採用し、教育することで自社にとって長期的に貴重な労働力を育成できます。
日本人だけに限定せず、国内外の若者を募集することで、自社と相性の良い人材を確保できる確率は上がるはずです。
(2)地方でも求人への応募が多い傾向がある
一般的に人手の確保が難しい地方の企業も、外国人採用により多くの応募を集められる可能性があります。
外国人労働者は東京、大阪、名古屋の3大首都圏に住む人が多いですが、希望の仕事があれば地方へ移住することを厭わない人も多いです。
また、生活コストを下げるために首都圏にアクセスが良い地方への移住を選ぶ外国人も増えており、地方でも比較的求人応募数を確保しやすいでしょう。
(3)助成金を利用できる
外国人雇用により、助成金や補助金の利用が可能となる点も魅力です。
以下に外国人雇用で活用できる助成金、補助金の情報をまとめました。
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース) | 外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を実施するための助成金。 |
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人材開発支援助成金(人材育成支援コース) | 雇用する被保険者に対し、職務に関する知識や技能を習得させるための訓練の経費やその間の賃金を助成。 |
キャリアアップ助成金 | 非正規労働者を正規雇用にステップアップさせるなど、労働者の処遇改善に取り組んでいる事業主向けの助成金。 |
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース) | 対象労働者(安定した職業を得ていない人)を一定期間トライアル雇用した事業主への助成金。 |
雇用調整助成金 | 経済的な理由などによりやむを得ず事業活動を縮小する際に利用可能。従業員に対して休業や教育訓練の雇用調整を実施した事業主に対する助成金。 |
上記以外にも自治体独自の助成金も利用できるため、お住まいの自治体にどのような助成制度があるかを調べて、活用すると良いでしょう。
(4)グローバル化・インバウンド対策になる
外国人採用により、海外展開への足がかりを固め、またインバウンド対策になる点も魅力です。
市場調査を手伝ってもらったり、外国人の目線で必要なサービスを考えるなど、サービスモデルの考案にも貢献してくれるでしょう。
また、ホテル業や飲食店では雇用した外国人に訪れる外国人への接客対応を任せることができ、より行き届いたサービスを提供できます。
3.外国人採用のデメリット
人手不足の救世主ともいえる外国人採用ですが、デメリットがある点も忘れてはいけません。
事前にデメリットとその対策を検討し、外国人採用の実施が必要か考えてみてください。
- カルチャーギャップへのフォローが必須である
- 言語的な問題で意思疎通が難しい
- 採用手続きが複雑である
- 離職率が45%と高い
(1)カルチャーギャップへのフォローが必須である
育った環境の違う外国人を雇用するには、外国人の文化や慣習についての理解が必須です。
そして、日本文化に馴染んでもらうためのフォローが欠かせません。
実際に日本で働く外国人は「日本人はマナー違反をした際に、嫌な顔をするだけで何が間違っているか教えてくれない」と感じているそうです。
日本人にとって当たり前の礼儀やマナーが、外国人にも通用するとは限りません。
文化の違いを理解しつつ、日本での振る舞いを教え、フォローする体制を整えましょう。
具体的には、雇用する外国人の出身国について知識があり、労働者と使用者の中立の立場でコミュニケーションが取れる人材を配置することが必要です。
(2)言語的な問題で意思疎通が難しい
外国人は日本語の習得度がまだ浅く、意思疎通ができない場合があります。
早口で注意しても聞き取れなかったり、細かなニュアンスが伝わらず仕事の指示が伝わらないケースもあるでしょう。
外国人を採用する場合は相手に伝わっているかを確認しつつ、話すスピードや使用する単語の難易度を下げるなどの工夫が必要です。
(3)採用手続きが複雑である
外国人採用は日本人採用と違い、採用手続きが複雑です。
就労できる外国人の条件が決まっていたり、在留資格によって雇用できない職種があります。
一般的な採用活動とは異なることを念頭に置き、注意点を理解したうえで採用活動を始めましょう。
(4)離職率が45%と高い
外国人採用は人手不足対策として有効ですが、離職率が45%と高い点に注意してください。
(【参考】直接雇用の外国人労働者の入職、離職状況)
離職の原因は主に以下のようなもので、労働条件以外に人間関係に悩む外国人も多いです。
- マネジメントへの不満
- 給与や待遇への不満
- 人間関係・偏見や差別
日本企業に多い在籍年数が評価につながる風潮、評価基準の曖昧さも原因となっているようです。
また、日本では当たり前のサービス残業や早朝出社なども海外の文化に馴染まず、「働いている時間に応じた給料がもらえない」と感じる外国人が多い点も離職の原因となっています。
また、マイノリティになりやすい外国人が人間関係に悩んだり、偏見や差別を感じて離職する場合もあります。
外国人を受け入れる体制を十分に構築しなければ、せっかく採用した労働者がすぐに離職してしまうでしょう。
評価制度や待遇面を見直すなど、企業側も外国人の定着率を上げる努力が必要です。
4.外国人採用を実施する際の注意点
外国人採用は日本人向けの採用活動とは条件や流れが異なります。
そのため、以下の注意点を理解したうえで実施しましょう。
- 雇用可能な外国人には条件がある
- 外国人だからと低賃金で雇用できない
- 採用までにかかる時間が長い
- 不法な就労を助長すると企業側が罰則を受ける
- 差別的な内容の求人広告を出すことは許されない
- 兵役がある国がある
- 外国人向けの質問を準備する必要がある
- 外国人向けの研修環境を整える
(1)雇用可能な外国人には条件がある
外国人なら誰でも雇用できるわけではない点に注意してください。
- 在留カードの有無
- 就労が認められている
- 在留期限内である
- 職種が在留資格内で認められているかどうか
在留カードのない外国人、在留期限が切れている外国人は雇用できません。
また、在留資格によって就労が認められない場合、在留資格で就労が認められていても職種によっては就労できないケースがあります。
#1:就労が認められている在留資格
現在日本には27の在留資格があり、就労が認められているのはその中の18種類です。
就労が認められている在留資格 | 外交 公用 教授 芸術 宗教 報道 投資・経営 法律・会計業務 医療 研究 教育 技術 人文 知識・国際業務 企業内転勤 興行 技能 技能実習 特定活動 |
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原則として就労が認められない在留資格 | 文化活動 短期滞在 留学 研修 家族滞在 |
就労活動に制限がない在留資格 | 永住者 日本人の配偶者等 永住者の配偶者等 定住者 |
#2:在留資格で就労できる職種
ここでは代表的な就労が認められる在留資格と就労可能な職種について紹介します。
自社で受け入れが可能な在留資格について確認し、雇用が可能か確認してから採用活動を実施しましょう。
技術 人文 知識・国際業務 | ・理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術 ・知識を要する業務 ・法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術 ・知識を要する業務 ・外国文化に基盤を有する思考や感受性を必要とする業務 【例】通訳語学の指導為替ディーラーデザイナーエンジニア |
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特定技能1号 | ・介護 ・ビルクリーニング ・素形材産業 ・産業機械製造業 ・電気・電子情報関連産業 ・建設造船・船用工業 ・自動車整備 ・航空 ・宿泊 ・農業 ・漁業 ・飲食料品製造業 ・外食業 |
特定技能2号 | ・建設業 ・造船・船用工業 |
技能実習 | ・農業・林業関係 ・漁業関係 ・建設関係 ・食品製造関係 ・繊維・衣服関係 ・機械・金属関係 その他 社内検定型の職種・作業 【参考】技能実習制度 移行対象職種・作業一覧 |
特に代表的な資格が「特定技能」です。特定技能制度とは、
一定の専門性や技能を有する外国人を受け入れる制度で、1号と2号の2つに分類されます。
特定技能1号とは特定産業分野に関する相当程度の知識と経験、技能を要する外国人向けの在留資格です。
特定技能2号とは、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格となります。
特に特定技能1号は取得条件が厳しくなっており、試験において技能水準や日本語能力の水準が規定に達していることを確認した外国人にしか取得できません。
日本語でのコミュニケーションが一定水準以上であること、また就業に対する制限が他の資格に比べて少ないことから、人手不足の要となる在留資格です。
(2)外国人だからと低賃金で雇用できない
原則として外国人を採用する際に、最低賃金を下回る条件での雇用は禁止されています。
外国人は日本人より安く雇用できると誤解している企業も多いですが、原則労働条件は日本人と同一にしなければなりません。
仮に技能実習生であっても最低賃金を下回る金額で働かせることはできず、万が一違反した場合は最低賃金法違反として30万円以下の罰金を科される可能性があります。
『第三十九条第三十四条第二項の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。【引用】最低賃金法 | e-Gov 法令検索』
(3)採用までにかかる時間が長い
外国人採用は手続きが複雑であるため、手続きの完了までに1〜3ヶ月程度要する場合があります。
特に海外に居住する外国人を採用するケースでは、3〜4ヶ月程度かかる場合もあるため、なるべく余裕を持った採用活動のスタートが重要です。
簡単に外国人採用の流れを説明します。
- 外国人向け求人情報を公開する
- 在留カードや在留資格を確認する
- 面接を行う
- 雇用契約書や労働条件通知書を作成する
- 在留資格の変更申請を行う(※必要な場合のみ)
- 入社準備
ここで重要になるのが雇用契約書や労働条件通知書の作成言語です。
海外では契約書に書かれていないことは「契約外の業務である」という考え方があるため、担当する業務については日本人向けの契約書以上に細かく記載する必要があります。
また、言語の問題で契約書の内容について認識の齟齬が生じないように、母国語で作成するなどの工夫が必要です。
外国に居住する外国人を雇用する場合などは、入社前までに住居や銀行口座の開設、航空券の手配など住環境を整えるための準備が必要な点にも注意してください。
(4)不法な就労を助長すると企業側が罰則を受ける
在留資格によっては就労ができない、または特定の職種での就労が認められていません。
在留期間が切れた外国人を就労させたり、許可されていない業務を請け負わせた場合は、企業側が「不法就労助長罪」に問われ、罰則を受ける可能性があります。
仮に外国人が在留資格を偽っており、企業側が不法就労の事実を知らなかった場合でも不法就労を助長したとみなされるケースがあります。
(5)差別的な内容の求人広告を出すことは許されない
求人広告において、差別的な内容を記載しないよう注意しましょう。
「外人や原住民、後進国の〜」などの表現は絶対に使ってはいけません。
また、国籍を限定したり「〇〇国籍の方優遇」など、国籍によって採用の可否が決まるような内容を記載しないようにしましょう。
注意したいのが「外国人歓迎」という表記もNG表記になることです。
あらゆる国籍で採用に差別があってはならないため、外国人を優遇する内容でも差別的な広告とみなされます。
なお「日常会話レベルの日本語を話せる方」「留学生歓迎」「〇〇国籍の方が多い職場です」などの表記については、差別ではなく求めるスキルや属性、現状を表す表記のためOKとなります。
(6)兵役がある国がある
外国人採用の場合は兵役の有無についても確認しましょう。
万が一兵役がある場合は帰国して兵役を終えなければならず、その場合にトラブルになるかもしれません。
例えば、韓国やロシアなどは兵役があり最大2年間の訓練を受ける義務があります。
兵役がある国籍の場合は、兵役を終えているかどうか確認すると良いでしょう。
(7)外国人向けの質問を準備する必要がある
外国人採用の面接試験では、外国人向けの質問を準備する必要があります。
たとえば、外国人向けの面接では以下のような質問が行われるケースが多いです。
- 日本企業を選んだ理由はなんですか?
- どれくらいの頻度で日本語を話しますか?
- どうして来日したのですか?
- この仕事に興味を持った理由を教えてください。
注意したいのが、海外は日本よりも人種差別や宗教、政権に対する批判にシビアである点です。
「どんな神様を信じてるの?」「あなたの国の政治についてどう思ってるの」
このように、宗教が信条を問うような質問は避けた方が良いでしょう。
(8)外国人向けの研修環境を整える
外国人の定着率を上げるためにも、外国人向けの研修環境を整えましょう。
日常会話がこなせる外国人であっても、マニュアルを渡すだけなど教育が不十分だと、業務をきちんと理解できない可能性があります。
- 座学とOJTを組みわせた研修の開催
- 教育担当をつける
- 日本語や文化についての研修を実施する
以上のように日本で働く外国人に配慮した研修制度を設けましょう。
まとめ
外国人採用は若い人材が集まりやすく、地方でも人手を確保しやすいのが魅力です。
ただし、外国人を雇用するにあたって受け入れる側の研修体制や環境の構築、文化への理解などの準備が必要な点に注意しましょう。
また、在留資格によって就労できない職種があったり、そもそも就労不可の場合もあります。
外国人採用は雇用までに時間がかかるケースも多いため、なるべく早く募集をかけるのが大事です。
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