「退職代行を使われたら、どう対応すべき?」
「退職代行を使われない状況を作るために、中小企業でできる対策は?」
中小企業でも退職代行の利用者が増えており、いつ急に社員が辞めるかと不安を抱えている事業者の方も多いでしょう。
この記事では、退職代行の普及が中小企業へ与える影響や退職代行を利用する社員の特徴、業者への対応方法、退職代行業者を使わせないための組織改善について解説しています。
1.退職代行の普及が中小企業へ与える影響
社員が退職代行を利用して退職した場合に中小企業が受ける影響は、以下のようなものが挙げられます。
- 突然の退職による人員不足
- 業務負荷の増大による他社員へのストレス
- 企業イメージの低下
(1)突然の退職による人員不足
退職代行業者を経由して退職の申し入れがあった場合、即刻退職手続きが開始し、社員が再び出社することはありません。
そのため、企業としては急に欠員が出て引継ぎもなされない状況になり、業務に支障が起きる可能性があるでしょう。
(2)業務負荷の増大による他社員へのストレス
突然退職者が出れば、退職した社員が担当していた業務を誰かが肩代わりしなければなりません。
退職代行を使われたからといって、取引先は待ってはくれないからです。
退職者の業務を部署のメンバーで分担する必要があり、業務負荷やストレス、残業時間が増大する可能性があります。
(3)企業イメージの低下
退職代行の利用者が出たことで、企業イメージが下がる懸念があります。
一般的に退職代行は「退職させてもらえない、または話合えない環境に置かれた社員が使うもの」と思われているためです。
そのため、退職代行を使われたと知った取引先などから「あの会社はブラックな経営をしているのでは」と、あらぬ疑いを掛けられる可能性があるでしょう。
2.退職代行を使う社員の特徴とは
退職代行を使っての退職は、中小企業にとってマイナスな影響が多いです。
退職代行を使う社員の特徴を以下で紹介するので退職代行を使われたくないなら、以下のような社員には特に目をかけてケアをしましょう。
- 在籍期間が短い
- 部署異動したばかり
- 真面目で責任感が強く自分を追い込みやすい
- 優秀で退職希望を出しても引き止めにあってしまう人
- 直接の話し合いを避ける傾向にある人
(1)在籍期間が短い
在籍期間が短い新入社員は、退職代行を利用しやすい傾向にあります。
特に入社1ヶ月以内の時期やGWなどの大型連休明けに出社できず、そのまま退職代行を利用する人が多いです。
新入社員はまだ会社への愛着が形成されておらず、嫌なことがあればすぐに退職を考えます。
また、責任ある仕事も任されていないため「自分が辞めても困らないだろう」と考えがちです
(2)部署異動したばかり
部署異動直後は環境の変化によりストレス感受性が高まっている時期なので、声掛けやメンタルケアが必要な時期です。
新しい仕事を覚えるのが大変、上司と合わないなど環境の大きな変化で、退職を考える人が多いでしょう。
(3)真面目で責任感が強く自分を追い込みやすい
真面目な性格で責任感が強い人も、退職代行を利用する傾向にあります。
責任感が強い故に悩みを人に打ち明けられず、退職代行を使わざるを得ない状況まで自分を追い込んでしまうためです。
また、思い悩む同僚に対して周囲の人が「退職代行を利用してみては」と利用を勧めるケースも少なくありません。
退職を上司に申し出ようと思っても「上司に合わせる顔がない」と思い、退職代行を利用します。
(4)優秀で退職希望を出しても引き止めにあってしまう人
有能な社員で以前退職希望を出し、会社が引き止めた経緯がある人も、退職代行を利用しやすいので注意しましょう。
「どうせ退職を申し出ても受け入れてもらえない」という思いから、退職代行を利用してスムーズに退職したいと考えます。
(5)直接の話し合いを避ける傾向にある人
人との衝突を嫌うタイプの人も、退職代行を利用しやすいです。
話し合いが怖いので上司に退職の意思を伝えられず、退職代行に入ってもらって退職したいと考えます。
日頃から意見を主張しない人、当たり障りのない発言をしているタイプの社員が該当するので、そういった社員に対してのケアには気を配るべきでしょう。
3.退職代行業者から連絡が来た際に中小企業が取るべき対応
退職代行の利用は法的に認められており、社員には辞める権利があります。
中小企業にとって他人事ではない退職代行業者への対応について、知識をつけておきましょう。
- 依頼者が従業員本人かどうか確認する
- 退職日を決め所定の退職届などの書類を提出してもらう
- 貸与品を返却してもらい、本人の私物の返却方法について聞く
- 業務引き継ぎについて対策を検討する
(1)依頼者が従業員本人かどうか確認する
退職代行業者から連絡が来たら、依頼者が自社に在籍している社員かどうかを聞き取り、確認します。
その後、退職代行業者の情報を訪ねて、正当な資格の上で運営されている退職代行業者か確認してください。
稀に退職代行を騙った嫌がらせ、イタズラをする人がいるためです。
相手の情報を聞き出して連絡先や住所などに嘘がないか確認し、再度電話番号にかけ直しをしましょう。
(2)退職日を決め所定の退職届などの書類を提出してもらう
退職代行業者と退職日を決定し、所定の退職届等の書類を提出してもらいましょう。
自社で雛形を用意している場合は、雛形を送付して書類作成後に郵送してもらいます。
退職代行業者は利用者に対し、早期に退職するようアドバイスしているケースが多いです。
退職日について
- 民法第627条によると、退職日の2週間前までに退職の意思を伝えれば退職が認められています。仮に就業規則に「退職の場合は1ヶ月以上前に通知すること」と定められていた場合でも、民法の規定が優先です。 また、雇用形態に関係なく全労働日の8割以上出勤し、入社日から6ヶ月以上経過している場合は10日間の有給休暇が付与されます。そのため、退職の申し出時点で2週間以上の有給休暇が残っていれば、上記2週間を有給休暇として消化し、そのまま出社せずに退職することも可能です。
【参考】民法|e-gov 法令検索
(3)貸与品を返却してもらい、本人の私物の返却方法について聞く
退職日が指定されている場合、退職した社員が所持している貸与品の返却を依頼しましょう。
早急に返却してもらうべき貸与品は顧客情報が入っているPCやスマートフォン、入室時に使用するICカードなどです。
特にプライバシーマーク取得事業者は認定マークの取り消し、ホームページによる企業名公開を受けるなど、取得していない企業よりも厳密な対処を受ける可能性が高いため注意が必要となります。
多くの場合は退職代行業者にて、貸与品を宅急便などで返却してもらえます。
また、退職代行を使用した社員の私物が会社に残っている場合は、その返却方法についても確認してください。
配送先は社員の自宅か代行業者か、配送料はどちらが負担するかを確認しましょう。
(4)業務引き継ぎについて対策を検討する
退職代行経由での退職の場合、従業員と直接やり取りをすることはできません。
引き継ぎは退職者の義務ではありますが、会社側が強制することができません。
また退職代行業者の職務範囲として交渉や協議が認められていない場合が多いです。
そのため、担当している業務の一覧表や特殊なフローの共有、顧客リストファイルの保管場所など、必要な情報は聞き取りしなければなりません。
部署のメンバーで業務について知識がある人へ引き継ぎを依頼するなどし、業務が滞らないように対策しましょう。
また、日頃から自社で業務の属人化を避けるためのジョブローテーション、マニュアル整備を進めておいてください。
4.退職代行を使われたら…ショックを受ける前にすべきこと
退職代行業者が広く認知された今、退職代行を利用する人が一定数出るのは当たり前とも言えます。
大切なのは従業員が「話し合いもせず、すぐにでも辞めたい」と思わない環境作りです。
退職代行を使われた後は「退職の連鎖が生まれやすい時期なので、特に以下の点に注意して社員のケアを実施しましょう。
- 部署のメンバーに状況を伝えて協力を仰ぐ
- 引き継ぎ担当者へのフォロー
- 欠員の補充に向けての採用活動
(1)部署のメンバーに状況を伝えて協力を仰ぐ
退職代行利用者が出たら、部署のメンバーに欠員が出たことを伝え、引き継ぎの協力を依頼しましょう。
部署のメンバーは予期せず担当業務が増えることになるので、「苦労をかけるが、すぐに人員を補充する」など、上層部側でもフォロー体制を整えることをしっかり伝えてください。
部署のメンバーは急な負荷増加に不満を抱きやすいので、トップダウンで決定事項を伝えるだけでなく、協力して難局を乗り切ろうと声をかけましょう。
(2)引き継ぎ担当者へのフォロー
特に引き継ぎ担当者は急に新しい業務を振られる形になり、ストレスを感じているはずです
引き継ぎを引き受けてくれたことへの感謝を伝えるのはもちろん、上司も積極的にフォローに入りましょう。
引き継ぎ担当者に全て任せて上司は平常業務をこなすだけでは、不満が増大して更なる退職代行利用者が出かねません。
退職代行利用者が出た直後の社員たちへの対応で、部署のメンバーからの信頼関係は大きく変わることを念頭に置き、積極的に業務に参加してください。
(3)欠員の補充に向けての採用活動
実業務へのフォロー以外で早急に着手すべきなのが、欠員の補充です。
一人欠員が出た状態では、部署のメンバーの負荷が高まり、残業時間やストレスも増えます。
ここで上司が人員補充に消極的だと見られると、上層部への不信感から新たな退職代行利用者が続出することにつながります。
「◯月までには人員を補充するので、それまで一緒に頑張って欲しい」など、明確な期限を伝えることが、部署のメンバーを安心させるために大切です。
すぐに正社員採用が難しいなら派遣社員を雇用するなど、人を補充する動きをとっていることを部署のメンバーに示しましょう。
5.【中小企業向け】退職代行を使う社員を出さないための対策
大手企業は退職代行の普及に伴い、対策として賃上げなどを取り入れています。
しかし、大手と比べると資金力が低い中小企業が今すぐ賃上げをするのは難しいはずです。
そこで、退職代行を使われたくない中小企業向けの対策を紹介します。
- 入社前と入社後のギャップを避けるために合意を取る
- 面談や意見の窓口を設けて意見を言いやすい環境を整える
- 意見や不満に対して改善する姿勢を見せる
- 部下の目線に立ち仕事内容を説明、合意を取る
- 方針転換や業務フロー変更時には丁寧な説明を心がける
- 会社全体の教育フローを見直す
(1)入社前と入社後のギャップを避けるために合意を取る
新人が入社後すぐに退職代行を利用する理由は、入社前と入社後のギャップの大きさからです。
特に仕事内容や自分が負う責任の範囲が事前説明と大きく異なると、「聞いていた話と違う」「思っていた仕事じゃなかった」と感じ、辞めてしまいます。
このような状況を打破するには、採用時に仕事内容をしっかり説明してイメージを持ってもらうこと、また責任の範囲を明確にすることです。
しかし「入社前の説明で全員が理解できるように説明をし、合意してもらうのにはリソースが足りない」と悩み中小企業の方もいるでしょう。
そこでおすすめしたいのが、仕事内容を端的に伝えられ、ビジュアルで仕事をしている自分をイメージしやすいアニメーションを使う方法です。
アニメーションで職種ごとの仕事内容を動画化しておけば、入社前にどのような仕事をするか理解するのに役立ちます。
入社前に入社後のイメージを具体的に持てる施策をしておけば、入社後すぐに新入社員が辞めてしまう自体を防げるでしょう。
(2)面談や意見の窓口を設けて意見を言いやすい環境を整える
不満があっても「誰に言えば良いかわからない」と悩む社員は多いです。
また、面と向かって上司に不満を伝えて、その後の昇進に響くことを恐れる人もいます。
対策として、月に1回以上の面談の機会(できればオンラインではなく、オフライン)を設けてコミュニケーションをとりましょう。
また、日頃の会話や面談時に「意見があったら遠慮なく言って」と伝えておきましょう。
さらに、直接話をするのが苦手な社員のために窓口や投書箱を作り、そこに意見を入れてもらう方式も有効です。
(3)意見や不満に対して改善する姿勢を見せる
意見を受け付けて満足するだけでなく、意見を取り入れたり、不満を改善する姿勢を見せましょう。
仮に意見を言っても採用されない、採用されない理由についてフィードバックもなければ、社員が意見を出すモチベーションは下がります。
意見が出たら取り入れて改善する、取り入れることが難しい場合は理由を伝えて妥協案を出してもらうなど、会社側も社員の意見に対して真摯に取り組みましょう。
この循環が構築できれば社員から活発に意見が出るようになり、退職代行を利用する前に「上司に伝えてみよう」と思わせることができます。
(4)部下の目線に立ち仕事内容を説明、合意を取る
多くの上司は部署異動や仕事内容の説明の際に、部下の目線ではなく自分目線で話しています。
これが原因で部署異動後に「説明と違う」と感じ、退職を考える社員が増えてしまいます。
業務を知っている人にとっての当たり前は、初めて業務を覚える人にとっては当たり前ではありません。
部署異動を依頼する際も部下目線で仕事について説明し、合意を取ってから異動を決めるなど、より丁寧なプロセスをとることで退職代行利用者を減らせます。
(5)方針転換や業務フロー変更時には丁寧な説明を心がける
会社の方針転換や業務フロー転換時も、社員に対して丁寧な説明を心がけましょう。
トップダウンでの指示は上層部にとっては楽ですが、社員にとっては「きちんと説明もない、理不尽だ」と不満を持つ原因となります。
なぜ方針が変わるのか、フローを変えることでどのような利点があるかをきちんと説明し、部署のメンバーに納得してもらってから新しい方針やフローを実施しましょう。
(6)会社全体の教育フローを見直す
中小企業は大手と比べて人員が豊富ではないため、新人教育がどうしても手薄になりがちです。
新人が退職代行を利用した場合は、教育制度が未成熟なのかもしれません。
整備されたマニュアルが無く猛スピードで教育し、「後はやりながら覚えて」などと言っていないでしょうか?
このような教育を続けると、よほど出来の良い社員以外は退職し、人材が定着しません。
新人教育を手間なく新人に寄り添った形で実施するなら、マニュアル動画の制作がおすすめです。
アニメーションで仕事のフローを説明し、実写動画を交えて業務フローを解説する動画を用意しておきましょう。
アニメーション動画は短時間でも情報が伝わりやすく、視覚的に業務を確認できるため、テキストベースのマニュアルよりも業務習得が早くなります。
また、何度も使いまわせるため新人が入ってくるたびに、教育担当が時間を作る必要もなくなります。
アニメーション動画の活用でずっと働きたい会社作りを
退職代行利用者が出るのは、今やどの企業にとっても避けられません。
しかし、中小企業は大企業と比べて社員数も少なく、1人でも欠員が出れば業務に大きく響きます
中小企業として今対策すべきことは、退職代行を使われたとしても揺るがない職場環境や仕組を日頃から整備することです。
アニメーション動画でマニュアルを整備するなど、リソースをかけずに業務を教えるような環境構築も検討してください。
もちろん十分に従業員へのケアをしたとしても、退職代行利用者が出ることはあります。
そのため、退職代行を使われた場合に備えて、中小企業側も採用に力を入れておくべきです。
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