「テレワークを完全廃止したら、求人応募数が激減してしまった」
「社内からもテレワークの廃止に反対する意見があり、どうしたら良いかわからない」
2020年以降のコロナ禍でテレワークを導入した企業が完全テレワークを廃止する動きが拡大しています。
しかし、同時に内定辞退率が上がったり、そもそも求人応募数が激減したと危機感を覚えている企業が増えているのも事実です。
この記事では、テレワーク廃止の最新動向やテレワーク制度と就活市場の関連性、テレワークのメリットとデメリット、企業が制定すべきテレワーク方針について解説します。
1. テレワーク廃止の動きが企業に広がる最新動向
コロナ禍で導入企業が激増した「テレワーク」ですが、廃止の流れが各国で広がっています。
なぜテレワークを撤廃する企業が増えたのか、その理由についても理解したうえで、自社の方針を決めていきましょう。
- 米国GAFA各社もオフライン回帰を推奨
- 日本企業における出社要請の現状
- コロナ後の働き方の変化とは
(1)米国GAFA各社もオフライン回帰を推奨
新型コロナウイルス感染症の収束に伴い、世界的にテレワークの見直しが進んでいます。
特に注目すべきは、テクノロジー業界を牽引するGAFA各社の動向です。
例えば、Amazonは2023年5月から「企業文化の緩み」を原因として週3日以上のオフィス勤務を義務付けました。
また、Googleも週3日以上の出勤を評価項目に含める方針を発表しました。
この理由は、コミュニケーションや人事評価の難しさ、生産性の低下があるとされています。
多くの経営者が「テレワークは効率が悪い」と述べており、オフィス勤務と比べた場合の生産性の低さが懸念されているようです。
以上のように影響力の強いGAFAがテレワーク撤廃に踏み出したことがほかの企業にも影響を与え、リモートワークからオフライン回帰への動きが大きくなっているのです。
(2)日本企業における出社要請の現状
日本においても、多くの企業がテレワーク制度の見直しを進めています。
完全テレワークから、週2〜3日の出社を求めるハイブリッド型への移行が主流となっています。
この背景には、対面でのコミュニケーションの重要性や、企業文化の維持・発展への懸念があります。
テレワークでは直接のコミュニケーションが難しく、チーム員の心情やモチベーション管理が困難でした。
また、出社して一緒に働く連帯感の創出が難しいため、企業文化の維持や創出にもハードルが生じます。
日本もまた世界と同様に、テレワークのデメリットに懸念を示し、ハイブリッド型のスタイルを取り入れて出社を要請し始めています。
(3)コロナ後の働き方の変化とは
パンデミックを経て、働き方に対する価値観は大きく変化しました。
立教大学経営学部の中原淳教授によると、就活生の間では「ワーク・ライフ・バランスについての関心が極めて高く」なっており、特に転勤の有無や労働時間の柔軟性が重要な判断基準となっているとのことです。
ただし、就活生の求める物を全て叶えていると、企業が求める生産性や企業文化の創出、適切な評価が難しいのも確かです。
企業には、この価値観の変化に対応しながら、生産性と従業員満足度の両立を図ることが求められています。
2. テレワーク制度から見える企業の働き方改革
テレワーク制度から見える企業の働き方改革の概要を解説します。
- 採用市場における「口だけ在宅」企業の評判
- 就活生が重視する働き方の柔軟性
- 内定辞退率の上昇とテレワーク廃止の関係
(1)採用市場における「口だけ在宅」企業の評判
就職活動において、企業の働き方に関する情報は重要な判断材料となっています。
「口だけ在宅」、つまり制度としてテレワークを掲げながら実態が伴わない企業は、就活生から厳しい評価を受けています。
口だけ在宅が見破られる要因としてはやはり、SNSやインターネットの口コミサイトが大きく関係しているといえるでしょう。
仮に求人に在宅可能と書かれていても、ネットの口コミで在宅での働き方についての口コミがなければ、就活生は「本当は在宅勤務ができないのでは」と疑います。
このような企業は就活生から忌避されるため、求人に掲載する情報と実態とは一致させておくべきです。
(2)就活生が重視する働き方の柔軟性
現代の就活生は、企業選びにおいて働き方の柔軟性を重視しています。
転勤の有無、残業時間、テレワークの実施状況など、具体的な労働条件を詳細に検討する傾向があるためです。
特に、将来のライフプランを見据えた判断が増えており、共働きを前提とした働き方の実現可能性を重視する声が目立ちます。
たとえば、女性の場合は「将来子供ができた際に、在宅勤務ができる企業で働きたい」と考える人が多いです。
また、住宅コストを抑えて地方へ居住しながら、都心の企業で働きたいという若者も増えています。
従来のように拘束性の高い企業は人気が低くなり、若者が求める人生と両立できる働き方を提供できる企業に応募が集まるのです。
(3)内定辞退率の上昇とテレワーク廃止の関係
近年の調査によると、若者の内定辞退率は30〜50%に達するケースも報告されているそうです。
内定を出してもより働きやすい条件の企業があれば辞退されてしまい、結果人手不足を解消できません。
この理由は日本の終身雇用神話が終焉したこと、そして柔軟な働き方を求める若者が増えたことが挙げられます。
従来の日本では1つの会社で定年を迎えるのが当たり前であり、生涯の雇用の代わりに週5日出社という拘束性が高い働き方も許容されてきました。
しかし、近年は景気の悪化によるリストラのリスクが増え、会社員は安定した職業という考え自体が揺らいでいます。
また、先述したように若者は働きやすさ、人生との両立を重視して職場を選ぶようになったため、柔軟性の低い働き方を許容する企業は受け入れられなくなったのです。
さらにコロナ禍でテレワークが導入されたことで「会社には出社するもの」という概念が、根本からひっくり返ったといえるでしょう。
「出社しなくても仕事はできる」という考えが定着した今、あえて出社を強要される企業へ入りたい若者は少なくなっているのです。
3. テレワークのメリット・デメリットを徹底検証
テレワークは企業運営にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。
また、一方で多くの企業がオフライン回帰をしている理由となっているデメリットへの理解も深めましょう。
- 生産性とコミュニケーションの関係性
- 社員のメンタルヘルスへの影響
- コスト削減効果と運用上の課題
(1)生産性とコミュニケーションの関係性
テレワークにおける最大の課題は、コミュニケーションの質の低下です。
厚生労働省の調査によるとテレワークのデメリットとして「社内コミュニケーションの減少」を挙げる企業が最も多く、特に新入社員の育成業務において、対面でのコミュニケーションの重要性が指摘されています。
一方で、集中を要する個人作業では、テレワークによって生産性が向上するケースが報告されているのも事実です。
具体例として、プログラミングや文書作成などの業務では「オフィスの雑音から解放されることで、業務効率が向上した」という報告が多く見られます。
(2)社員のメンタルヘルスへの影響
テレワークは、通勤ストレスの軽減や仕事と私生活の両立支援において効果を発揮します。
しかし、孤立感や仕事とプライベートの境界があいまいになることによるストレスも報告されている点にも注意が必要です。
テレワークによってメンタルヘルスに良い影響を受ける社員もいれば、悪影響を受ける社員もいます。
これら双方の影響を考慮したうえで、テレワークの適切な運用を心がけなければなりません。
(3)コスト削減効果と運用上の課題
オフィスコストの削減や通勤費の抑制など、テレワークには明確なコスト削減効果があります。
オフィスでの業務にかかる光熱費は不要となり、また通勤交通費の負担も必要ありません。
特に都心部では、テレワークを配慮してオフィスのサイズを縮小することで家賃が大幅に削減できるのは大きなメリットといえるでしょう。
しかし、ITインフラの整備や情報セキュリティ対策など、新たなコストも発生します。
テレワークによって削減できるコスト、新たに増えるコストのバランスの検討が必要です。
4. 企業に求められるテレワーク戦略
人手不足を解消して就活生にとって魅力的な企業となるために、中小企業が行うべきテレワーク戦略とはどのようなものでしょうか。
具体的にテレワークを運用するために必要な体制について解説します。
- 管理職の役割と労働時間の見直し
- 新たな日本型雇用の確立に向けて
- 2040年問題を見据えた人材確保とは
(1)管理職の役割と労働時間の見直し
テレワーク環境下での管理職の役割は、従来以上に重要性を増しています。
特に、業務の可視化とコミュニケーションの活性化ができるような体制構築が必要です。
また、労働時間管理の見直しも必要となります。
ただ時間を過ごしているだけの社員と、業務を遂行している社員で評価を分けるために、新たな評価制度も考えましょう。
(2)新たな日本型雇用の確立に向けて
日本の雇用制度は諸外国に比べると安定しており、長期雇用が期待できる点はメリットです。
この日本型雇用の良さを活かしながら、若者が求める柔軟さを取り入れた新しい働き方を考案しましょう。
終身雇用制度、年功序列を完全に排除するのではなく、働く場所や時間を柔軟に選べるなど、新しい働き方の良い点を取り入れつつ自社独自の勤務システムを考えていくべきです。
例えば、AmazonやGoogleのように週に3日以上の出社をベースとしつつ、社員の事情に応じて柔軟にテレワークを許容するなどのシステムを取り入れましょう。
(3)2040年問題を見据えた人材確保とは
すでに人手不足で苦労している企業がさらに注視すべきは、2040年問題です。
2040年問題とは現役世代が1200万人減少し、更なる人手不足に陥るという社会問題です。
中原淳教授は朝日新聞デジタルの記事において、「男性だけではなく、女性を採用していくことは企業にとって極めて重要であり、これは大きな経営課題と考える必要がある」と指摘しています。
女性の採用を加速させるためには、育児や介護と仕事を両立できる体制作りが欠かせません。
テレワークを導入すれば、育児中に完全に休業するのではなく、育児をしながら勤務を継続できます。
また、パートナーの転勤で転居が生じた際にもフルリモートが許容されれば、貴重な人材が一人欠けるのを防止できます。
フルリモートが可能となれば、田舎にUターンを希望する社員をそのまま雇用し続けることも可能です。
また、地方の会社でも条件や業務内容が合致すれば、都心に居住する優秀な社員を自社に迎え入れることができるため、人材の確保にも非常に有効な手段といえるでしょう。
5. これからの企業が選ぶべきテレワーク方針
中小企業が今後選択すべきテレワーク方針について解説します。
- ハイブリッド型勤務の設計と導入
- デメリットを最小限に抑える具体策
- 成功企業に学ぶ効果的な運用方法
- 自社テレワーク方針の伝え方の検討
(1)ハイブリッド型勤務の設計と導入
海外の大手企業もテレワークを完全撤廃はせず、ハイブリッド型勤務を取り入れています。
完全なテレワークと完全出社の両極端を避け、双方の良い点を取り入れる方法です。
そのためにはまず、テレワークの基準を定めましょう。
例えば、今の会社でも取り入れられている「転勤可能な社員と転勤できない社員」で、ベースの給与、つける役職に差がつくような仕組みが参考になります。
初めに社員に転勤の可否を選択してもらい、内容に合意をとったうえで待遇の差をつけるような仕組みがあれば、従業員も納得して働き方を選択できるでしょう。
テレワークを廃止するのではなく選べるようにすることで、全撤廃による離職率の向上を避けられます。
具体的にはキャリアアップを目指す人には一定日数以上出社してもらい、強くフルリモートを希望する社員には待遇面の変動に合意してもらったうえで、完全なテレワークを許容するなどの仕組みがおすすめです。
部署や業務の特性に応じてテレワークの可否を柔軟に判断し、テレワークのメリットを最大化しましょう。
(2)デメリットを最小限に抑える具体策
テレワークによるデメリットは、コミュニケーション不足や社内文化の創出の難しさ、また社員評価制度の曖昧さです。
新人教育などコミュニケーションが重要な日には出社を必須とするなど、戦略的に出社日を設定しましょう。
基本的に管理職など、対面でのコミュニケーションが必須な役職者には完全出社してもらうなど、明確な基準を設けることも重要です。
また、新卒1年目からのフルリモートでは社内文化に馴染むことが難しいため、1年目は出社してもらい、2年目からリモートを選べるような制度を取り入れるのも良いでしょう。
フルリモートの場合でも月に1度は会議に参加してもらうなど、コミュニケーションをとる場を設けることで、コミュニケーション不足を回避できます。
また、GAFAのように出社日数を人事評価の基準に含めることで、自然に社員が出社する体制を構築する方法も取り入れましょう。
冒頭で説明したように出社日数によって給与、待遇が変動する仕組みなどを取り入れる方法が有効です。
(3)成功企業に学ぶ効果的な運用方法
テレワークの導入に成功している企業の共通点は、明確なルール設定と柔軟な運用の両立です。
例えばJALでは、2014年からテレワーク制度を導入しており、何度も制度を改正したうえで社員満足度の高い働き方を取り入れています。
DEI・福利厚生|働く環境・制度によると、JALでは間接社員はテレワークを誰でも利用でき、カフェや図書館など公共の場所でも勤務が可能な仕組みを確立しています。
またフレックスタイム制度も導入しており、働く時間を柔軟に自分で決める制度により、社員が自身の生活と仕事を両立しやすい環境です。
多くの企業に共通するのが、制度を立ち上げたあとに何度も改善を繰り返している点です。
制度立ち上げ後に社員に聞き取り調査を実施し、不便な点や不公平感がある場合はルールを変更します。
オンラインミーティングの実施、デジタルツールの活用などさまざまな運用体制を試し、自社に合うテレワークの体制を構築しましょう。
(4)自社テレワーク方針の伝え方の検討
採用活動において、テレワーク方針の伝え方は非常に重要です。
「口だけ在宅」の企業と思われないように、具体的な制度内容や運用実態をわかりやすく説明する必要があります。
出社日を決める場合は「なぜ出社しなければならないか」を説明し、理解が得られるように合意を得ます。
また、冒頭で説明したように出社日数が人事評価に影響する場合はその旨も説明し、入社前に内定者と合意形成しておくことが重要です。
事前の合意形成により入社後に「口だけ在宅の企業だった」と思われ、早期離職されるリスクは防げます。
例えば、先ほど紹介したJALのように制度一覧をホームページに掲載したり、働き方に特化した紹介動画を説明する方法が有効です。
まずは自社のテレワーク方針を固めたあと、入社後のギャップが生じないように制度を詳しく解説しましょう。
6. 採用革命®︎でテレワーク方針が伝わりやすい求人広告を
現在の採用活動において、テレワークは若者が求める柔軟な働き方を象徴するものです。
人手不足を解消してニーズにマッチした人材を獲得するには、テレワークをうまく取り入れて、自由な働き方をアピールする必要があります。
求人票に「テレワーク可能」と記載するだけでは、就活生が疑念を抱く可能性があるので、よりわかりやすく印象的にアニメーションを活用した説明動画がおすすめです。
アニメーションを活用し、出社日とテレワーク日の1日のルーティンを解説したり、自社で取り組む柔軟な働き方のための仕組みを説明しましょう。
このようにわかりやすい解説により就活生は具体的な働くイメージを持つことができ、結果として自社の求人への応募が増える可能性があります。
採用革命®️では、これまでアニメーションを通じて多くの中小企業の採用活動を支援してきました。
若者に親和性が高く、短時間でも情報が伝わりやすいアニメーション動画を使えば、文章だけでは伝わらないテレワーク方針を直感的に伝えられます。
まとめ:持続可能な働き方改革の実現に向けて
テレワークは、働き方改革における重要な選択肢の一つです。
しかし、その運用には慎重な検討と戦略的な導入が求められます。
企業の特性や従業員のニーズを踏まえた上で、持続可能な働き方改革を実現していくことが、これからの企業に求められるものです。
また、採用活動においてテレワーク方針をいかに説明するかも重要です。
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