AI時代に『ブルーカラー』が熱い！Z世代に刺さる採用ブランディングとは

「音響装置の修理技師がポルシェに乗ってやって来た」

2025年11月、日本経済新聞が報じたこの一文が、日本中に衝撃を与えました。

AIの進化により、弁護士やコンサルタントなどホワイトカラーの収入が伸び悩む一方で、配管工や電気技師といった技能職の収入が急上昇している…これが、いま米国で注目される「ブルーカラービリオネア」現象です。

この流れは日本でも近い将来起こると期待されており、今こそ人手不足に悩むブルーカラー企業にとっては、人材を取り込むチャンスといえます。

この記事では、AI時代だからこその現象であるブルーカラービリオネアとはなにか、ブルーカラー職が注目された背景、Z世代へブルーカラー職の魅力を伝えるブランディングについて解説します。

１．ブルーカラービリオネアとは？

ブルーカラービリオネアとは、配管工・電気技師・整備士など、いわゆる現場職（ブルーカラー）に従事しながら、数億円規模の資産を築いた人々を指します。

この現象は特にアメリカで顕著です。

背景には、AIや自動化が進む一方で、現場でしか発揮できない「技術力」や「実務対応力」が希少価値を増しているという構造の変化があります。

事務処理やホワイトカラー的な業務がAIに代替されていく中で、「手に職」を持つ労働者こそが、安定した収入と高い市場価値を維持しやすい時代になっています。

２．なぜAI時代の今、ブルーカラー職が注目されるのか

AIの発達により私たちの仕事や生活は利便性が増した反面、『AIに仕事を奪われる』というリスクも現実のものとなってきました。

特に、法務のリサーチ業務、事務処理、データ分析など、ホワイトカラー的な業務はAIの最も得意とする分野です。

これまで、肉体労働よりも知的労働の方が高収入を得られるというのが常識でしたが、これらの業務をAIが代替し始めたことで、逆転現象が起きています。

若者たちも、かつては知的労働に憧れを持っていました。しかし今では「AIに取って代わられるのではないか」という不安が広がり、キャリア選択に大きな影響を与えています。

一方で、ブルーカラー職はAIでは代替できない領域です。

現場ごとに異なる状況への判断力、予期せぬトラブルへの対応力、顧客との信頼関係構築、手先の器用さと経験則など…これらはどうしても「人の手、人の目、人の判断」が必要な仕事です。

このような仕事の特性により、ホワイトカラーではなくブルーカラー職を選び、多額の資産を稼ぐ若者が増えています。

日本でも建築・工業系の求人倍率は上昇を続けており、この流れは確実に到来しつつあるといえるでしょう。

３．Z世代とブルーワーカー職の相性が良い５つの理由

Z世代とブルーワーカー職の相性が良い理由は5つあります。

若者にブルーワーカー職の魅力を伝える際の参考にしてください。

（１）安定志向の強さ

Z世代は仕事での自己実現や出世よりも、安定性に強い関心を示す傾向があります。

マイナビによる調査では、学生の理想の将来像が「一生食べていける安定した仕事をもつ」という、非常に現実的なものであることがわかっています。（Z世代の価値観：仕事と家族、働き方への考え方とは？【マイナビ最新調査で考察(2024年更新)】）

これは、コロナ禍による不況や景気の変動を幼少期に経験したことが背景にあります。

親が苦労する姿を間近に見ており、またコロナ禍で「当たり前」が壊れた経験があるからこそ、堅実で将来の見通しを立てられる仕事を好むのです。

この点において、インフラや建設、電気設備工事などの現場職は、AIに代替されにくく仕事自体がなくなることはありません。

また技術があれば長期的に働けるため、現役を退いたあとも技術をもって収入を得られるという点も魅力になります。

景気の波に左右されにくい、なくならない仕事として訴求すれば、Z世代の価値観と完璧にマッチするはずです。

（２）業務の開始と完了が明確

ブルーワーカー職の大きな特徴は、業務の開始と完了が明確なことです。

デスクワークのように終わりが見えないストレスがなく、始業・終業時間も明確に決まっています。

この仕事の区切りのわかりやすさこそ、Z世代への最大のアピールポイントです。

調査によれば、Z世代の約80%が「自分のペースで成長したい」と回答しており、仕事とプライベートを切り分け、オンオフのバランスが取れる仕事を強く求めています。

1日の大半を業務に費やすというよりは、仕事の時間は業務に集中して、それ以外の時間は自分の時間として楽しみたいと考えているのです。

つまり、タイパ（タイムパフォーマンス）を重視し、効率的に働きたいZ世代にとって、ブルーワーカー職はこのような面でも理想的な職種といえるでしょう。

（３）手に技術があれば出世や独立も可能になる

ブルーワーカー職では、経験や技術がそのまま資産になる点が大きな強みです。

実務スキルを積み上げれば、現場のリーダーや施工管理者として昇進でき、将来的に独立も目指せます。

ただし、肉体労働中心の仕事である以上、50代以降は体力的に厳しくなるのも現実です。

このため、若いうちから営業やマネジメントにも関わり、自分が動かなくても収益が上がる仕組みを作ることが重要になります。

実際に、こうしたステップを踏んで組織を築き上げたブルーカラービリオネアも少なくありません。

具体的なキャリアパスを含めてZ世代に明るい将来を見せることが、より強く魅力を感じてもらえるコツとなるでしょう。

（４）労働に見合った賃金が受け取れる

近年、ブルーワーカー職の賃金水準は上昇傾向にあります。

これは人手不足と技能者の高齢化により、熟練工の価値が高まっていることが背景となっています。

努力がダイレクトに収入へ反映されやすく、またプロジェクトの線引きが明確で成果を実感できる環境は、Z世代にとって魅力的です。

自分の頑張りが数字に現れる、シンプルで公平な評価制度がモチベーションにつながっています。

４．Z世代に効果的にブルーカラー職をアピールするポイント

Z世代にブルーカラー職の魅力を伝えるには、従来型の「根性」「安定」の訴求では響きません。

彼らの価値観や情報の受け取り方に合わせた新しい伝え方が必要です。

ここでは、3つの観点から具体的なポイントを紹介します。

（１）ブルーカラー職へのネガティブイメージの払拭

Z世代の多くは、「ブルーカラー＝キツい・汚い・危険」といった旧来のイメージを無意識に持っています。

この印象を変えるには、現代の職場の雰囲気をリアルに見せるのが大事です。

たとえば、最新の機械設備やデジタル管理をされている様子、また安全性への配慮など、従来のイメージとは異なる部分を積極的にアピールしましょう。

事実、建設現場や製造、電気工事などの分野では、DXやスマート施工の導入が進んでおり、労働環境は大きく改善しています。

働き方改革の影響もあり、労働環境の改善に取り組んでいることがあれば、それについてもしっかり説明しましょう。

もちろん、古代表現することは入社後ミスマッチを生む原因になるので厳禁です。

自社でネガティブイメージを払拭できる要素を洗い出し、それをアピールするようにしましょう。

（２）仕事の魅力をZ世代が『理解しやすい方法』で伝える

Z世代は、単なる情報よりも映像・SNS・ストーリー性で情報を受け取る傾向が強い世代です。

そのため、採用説明会での資料配布や求人票だけでは、仕事の本質が伝わりにくいことがあります。

効果的なのは、「1日の仕事の流れ」や「成長する過程」を動画やアニメーションで見せることです。

「どんな仕事をして、どう成長できるのか」「年齢の近い社員が、1日どんなスケジュールで働いているのか」「どんな先輩と仕事をするのか」を、リアルに見せることで、入社前後のギャップを減らせます。

なお、Z世代はショート動画などに親しんだ世代でもあります。

ショート動画でハイライト的に社員の1日の流れを見せ、長尺板に誘導するなど、動画を見てもらうための動線も工夫しましょう。

（３）社会への貢献など賃金以外のやりがいをアピールする

Z世代は、「何のために働くのか」を重視する傾向があります。

単に収入が良いというだけではモチベーションが続きません。

そこで大切なのが、社会的意義や貢献性のアピールです。

たとえば「電気がなければ社会は動かない」「あなたの仕事が街の安全を支えている」など、自分の仕事が社会にどんな影響を与えているのかを具体的に伝えることが効果的です。

「生活の基盤を守る誇り」「人の役に立つ実感」など、賃金以外のやりがいを言語化して伝えることで、Z世代の共感を得やすくなります。

５．Z世代へのブルーカラー職のアピールにはアニメーションが有効！

ブルーカラー職の魅力を伝えるうえで、アニメーション動画は非常に有効な手段です。

その理由は主に4つあります。

• 現場映像では伝えにくい危険作業や専門的内容も、アニメなら安全かつ分かりやすく表現できる
• キャラクター化することで「親しみ」や「共感」を生みやすい
• SNS・YouTube・採用サイトなど複数チャネルで展開しやすい
• 短時間で情報を伝えられるため、タイパを好むZ世代と相性が良い

たとえば、工事現場を舞台にしたストーリー動画や、先輩社員の成長を描くアニメーションなどは、Z世代が自然に感情移入しやすいフォーマットです。

また、かっこいい職人像をスタイリッシュに描くアニメーションは、従来の印象を一新し、若者の「やってみたい！」という気持ちを引き出します。

採用広報の世界では、すでにこうした動画を活用する企業が増加しています。

まとめ

AI時代において、現場で動ける技術者こそがブルーカラービリオネアになりうる存在です。

Z世代が求めるのは、安定とやりがい、そして社会に貢献する実感。

ブルーカラー職はそのすべてを満たすポテンシャルを秘めています。

時代遅れの職業ではなく、時代に求められる専門職として再定義し、そしてその魅力を映像・ストーリー・共感軸で伝えることが、若手採用成功の鍵となるでしょう。

人手不足に悩んでいる企業の方は、ぜひブルーカラー職の魅力を見直してみてください。

そのうえで、若者に受け入れられやすい形で魅力が伝われば、より多くの採用が見込まれるはずです！