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コラム

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生成AIに入力してはいけない情報とは?個人情報・機密情報の注意点


生成AIへの個人情報や機密情報の入力について確認する採用担当者

「応募者の履歴書をChatGPTに読み込ませて、面接の質問を考えてもらおう」
「社内の資料を生成AIにアップロードして、内容を要約してもらおう」

こうした使い方を一度は考えたことがある方も多いのではないでしょうか。

ChatGPTをはじめとする生成AIは、文章作成や情報整理、アイデア出しなど、さまざまな業務に活用できる便利なツールです。

一方で、生成AIに入力してはいけない情報や慎重な取り扱いが必要な情報もあります。

個人情報や企業の機密情報を安易に入力すると、情報管理上の問題につながる可能性があります。

特に注意したいのが、会社として生成AIの利用ルールが明確になっていない場合です。

担当者が便利だと感じて使っていても、会社が許可していない情報まで入力してしまうおそれがあります。

では、生成AIに入力した情報はどのように扱われるのでしょうか。また、そもそも個人情報とは何を指すのでしょうか。

この記事では、生成AIのデータの取り扱いから 、個人情報の定義、入力を避けるべき情報、匿名化の注意点まで分かりやすく解説します。

企業の採用・人事担当者はもちろん、普段から個人で生成AIを使っている方にも知っておいてほしい内容です。

1. 相次ぐ企業の情報漏洩。生成AIの使い方は大丈夫?

ここ数か月、企業へのサイバー攻撃や個人情報漏洩に関するニュースが相次いでいます。

2026年10月14日には、内閣官房の国家サイバー統括室が、不正アクセスによる個人情報等の漏洩事案が幅広い分野の事業者・団体で相次いでいるとして、関係機関の注意喚起をまとめて公表しました。

また、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が発表した「情報セキュリティ10大脅威2026」では、組織向けの脅威として「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めて選出され、第3位となっています。

情報漏洩というと、外部からのサイバー攻撃をイメージする方が多いかもしれません。

しかし、企業が注意すべきなのは外部からの攻撃だけではありません。

例えば、採用担当者が応募者の履歴書を生成AIにアップロードしたり、人事担当者が社員の評価情報を入力したりすることも、情報の取り扱いという観点では注意が必要です。

もちろん、生成AIに情報を入力したからといって、必ずしも情報漏洩が発生するわけではありません。

ただし、会社が許可していない外部サービスに個人情報や機密情報を送信することで、社内規程や情報管理上の問題につながる場合があります。

生成AIを使うこと自体が問題なのではなく、どのような情報を、どのような環境で入力しているかが重要なのです。

2. 生成AIに入力した情報はどうなる?無料版・有料版とデータの扱い

生成AIを利用するうえでまず知っておきたいのが、入力した情報の取り扱いです。

ChatGPT、Gemini、Claudeなどの生成AIに質問や文章、資料を入力すると、その内容はサービス提供元のシステムなどで処理され、回答の生成に使用されます。

生成AIへの入力情報の送信とデータの取り扱いを示した図解

ここでよくある疑問が、「入力した情報はAIの学習に使われるのか?」というものです。

結論からいえば、入力した情報がAIの学習に利用されるかどうかは、サービスの種類や契約プラン、利用設定によって異なります。

無料版なら危険、有料版なら安全というわけではない

生成AIには、個人向けの無料プランや有料プラン、企業向けのビジネスプランなど、さまざまな利用形態があります。

例えば、ChatGPT・Gemini・Claudeでは、それぞれ入力データの取り扱いに関するルールが設けられています。

個人向けサービスでは、利用者の設定や同意状況などに応じて、入力内容がモデルの改善や学習に利用される場合があります。

一方、企業向けサービスでは、入力データをモデルの学習に利用しないことを標準の取り扱いとしているものもあります。

ただし、同じ生成AIでも、個人向けと法人向けでは条件が異なることがあるため、単純に「無料版は危険、有料版なら安全」と判断することはできません。

重要なのは、利用料金ではなく、どのサービスを、どの契約・設定で利用しているかを確認することです。

AIの学習をオフにすれば、個人情報を入力しても大丈夫?

ここで注意したいのが、「AIの学習に使われないこと」と「入力した情報が保存・処理されないこと」は別だという点です。

例えば、モデルの学習への利用を停止できるサービスであっても、入力した情報は回答を生成するために処理されます。

また、チャット履歴やデータの保存期間、削除方法などは、サービスや契約条件によって異なります。

つまり、AIの学習への利用を停止したからといって、入力した情報が外部サービスに送信されなくなるわけではありません。

会社で生成AIを利用する場合は、学習への利用設定だけでなく、データの保存期間・削除方法・アクセス権限・会社としての利用許可なども確認することが重要です。

さらに、外部アプリとの連携機能を利用する場合には、連携先でのデータの取り扱いにも注意が必要です。

生成AIの利用を安全に進めるためには、「何を入力するか」だけでなく、「どの環境で利用するか」まで確認することが大切です。

3. そもそも個人情報とは?名前や住所だけではない

生成AIに入力する情報を判断するうえで理解しておきたいのが、「個人情報」の範囲です。

個人情報と聞くと、氏名、住所、電話番号などを思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし、個人情報保護法における個人情報の範囲はそれだけではありません。

個人情報保護委員会によると、個人情報とは、生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別できるもの、または個人識別符号を含むものを指します。

また、その情報だけでは誰のことか分からなくても、ほかの情報と容易に照合して特定の個人を識別できる場合も、個人情報に該当します。

個人情報に該当する代表的な例

  • 氏名、住所、生年月日、電話番号
  • 個人を識別できるメールアドレス
  • 個人を識別できる顔写真や映像
  • 個人識別符号に該当する情報
  • 特定の個人と結びつく学歴や職歴
  • 特定の個人と結びつく給与や人事評価
氏名・住所・顔写真・職歴・人事評価など個人情報の例を示した図解

例えば、「営業職の社員」という情報だけでは、通常、特定の個人を識別できません。

しかし、「奈良県内のある会社で営業部長を務める入社15年目の社員」という情報であればどうでしょうか。

会社名や部署などの情報と組み合わせることで、誰のことなのか分かる可能性があります。

つまり、名前が書かれていなくても個人情報に該当する場合があるのです。

特に慎重な取り扱いが必要な「要配慮個人情報」

個人情報の中には、さらに慎重な取り扱いが求められる「要配慮個人情報」があります。

法律上、病歴、障害に関する一定の情報、犯罪の経歴などが含まれます。

例えば、採用活動において応募者から健康状態について相談を受けたり、入社後の配慮事項を預かったりする場合もあるでしょう。

こうした情報を、個人が特定できる状態のまま、会社が承認していない生成AIに入力することは避けるべきです。

なお、給与や人事評価も重要な個人情報になり得ますが、それだけで法律上の要配慮個人情報に分類されるわけではありません。

法律上の区分と、企業として慎重に管理すべき情報は、分けて考える必要があります。

4. 生成AIに入力を避けるべき情報とは?

生成AIを使用する前に社内の機密資料を確認する男性社員

では、実際にどのような情報を生成AIに入力しない方がよいのでしょうか。

会社が利用を承認し、安全管理措置などを確認した環境を除き、特に次のような情報には注意が必要です。

① 個人を特定できる情報

氏名、住所、電話番号、本人が分かる顔写真、履歴書などです。

採用担当者が応募書類をそのままアップロードする場合、本人の氏名だけでなく、連絡先や詳しい経歴なども外部サービスに送信することになります。

業務上必要な場合でも、本人情報を含めたまま送信してよいか、利用目的や会社のルールを確認する必要があります。

② 病歴や健康情報など、特に慎重に扱うべき情報

健康診断結果、病歴、障害に関する情報などです。

生成AIに健康について相談すること自体が問題なのではありません。

一般的な情報を調べるだけなら、氏名、住所、勤務先など、本人を特定する情報まで入力する必要はない場合が多いでしょう。

③ 企業の機密情報・未公開情報

社外秘の経営資料、未公開の新規事業計画、採用予算、取引先との契約情報などです。

これらは、個人情報に該当しなくても企業にとって重要な情報です。

「個人情報ではないから入力しても大丈夫」と判断せず、社内の機密情報に当たらないかを確認しましょう。

④ パスワードや認証情報

パスワード、認証コード、APIキー、クレジットカードのセキュリティコードなどです。

これらが第三者に知られると、アカウントへの不正アクセスや不正利用につながる可能性があります。

システムの不具合を生成AIに質問する場合も、画面のスクリーンショットに認証情報が含まれていないか確認が必要です。

会社が認めていないサービスやデータの取り扱いを確認できていない環境には、安易に入力しないことが基本です。

5. 「名前を消せば大丈夫」は本当?匿名化の落とし穴

個人情報の匿名化について資料を確認する社員たち

生成AIに個人情報を入力する際、「氏名だけ削除すれば問題ない」と考える方もいるかもしれません。

しかし、これは必ずしも正しくありません。

例えば次のような文章です。

「当社の営業部に所属する30代の女性社員で、勤続12年、昨年育児休業から復帰した人について、評価コメントを考えてください」

この文章には氏名がありません。

それでも、社内の関係者であれば誰のことなのか分かる可能性があります。

履歴書でも同様です。名前や住所を削除しても、珍しい資格、過去の勤務先、具体的な職歴などの組み合わせによって、本人を推測できる場合があります。

ここで知っておきたいのが、「氏名を削除すること」と、個人情報保護法上の「匿名加工情報」を作成することは違うという点です。

匿名加工情報とは、特定の個人を識別できず、元の個人情報を復元できないように、法律で定められた基準に従って加工した情報を指します。

名前を消したり、一部を黒塗りにしたりするだけで、自動的に匿名加工情報になるわけではありません。

そのため生成AIを使う際は、情報を伏せる工夫に加えて、そもそも個人に関する具体的な情報を入力する必要があるのかを考えることが大切です。

例えば、実際の社員の評価記録を入力する代わりに、「営業職の人事評価で、協調性や課題解決力を評価する際の観点を教えてください」と質問する方法もあります。

個人を特定できる情報を使わなくても、生成AIの便利さを生かせる場面は少なくありません。

6. 個人で生成AIを使うときにも注意したいこと

自宅で生成AIを利用し個人情報の取り扱いに注意する女性

ここまでは企業での利用を中心に解説してきましたが、個人で生成AIを使う場合も考え方は同じです。

例えば、次のような使い方には注意が必要です。

  • 運転免許証やマイナンバーカードの画像をそのままアップロードする
  • 銀行口座やクレジットカードの情報を入力する
  • 自分や家族の病歴などを、本人が分かる状態で入力する
  • 他人との非公開のメッセージを、許可なく貼り付ける
  • 勤務先の内部資料を個人アカウントで読み込ませる

これらは法律上すべて同じ種類の情報というわけではありませんが、プライバシーやセキュリティの観点から慎重に扱うべきものです。

例えば、家計の見直しについて相談したいのであれば、毎月の支出を大まかな項目と金額に整理するだけでも、生成AIから改善案を得られることがあります。

家族の健康について一般的な情報を調べたい場合も、氏名や住所などを入力せずに質問できることがあります。

また、個人で利用しているアカウントを仕事でも使っている場合は、さらに注意が必要です。

個人アカウントに社内資料をアップロードすると、会社側でデータの保存状況や利用履歴を十分に管理できない可能性があります。

プライベートで使い慣れているサービスであっても、仕事で利用してよいかどうかは別の問題です。

個人利用でも業務利用でも、「その情報を入力しなければ目的を達成できないのか」と考える習慣がリスクを減らす第一歩になります。

まとめ|生成AIに入力する前に「その情報は本当に必要か」を考える

生成AIは、文章作成や情報整理など、日常生活からビジネスまで幅広く活用できる便利なツールです。

しかし、使い慣れているからといってどのような情報でも入力してよいわけではありません。

今回、特に覚えておきたいのは次の3点です。

1. 生成AIに入力した情報の扱いは、利用プランや設定によって異なる。
2. 個人情報は氏名や住所だけではなく、ほかの情報と組み合わせて個人を特定できるものも含まれる。
3. 個人情報や機密情報は、必要性と利用環境を確認せずに入力しない。

生成AIを安全に使うためには、「何をAIに任せるか」だけでなく、「何をAIに渡さないか」を考えることも重要です。

特に採用・人事業務では、応募者の履歴書や面接記録、社員の評価情報など、慎重に扱うべき情報が数多くあります。

次の記事では、採用・人事担当者が生成AIに入力してはいけない情報を具体例とともに紹介し、実際の業務で安全性を高めながら活用する方法を解説します。

参考資料・出典

  1. 内閣官房 国家サイバー統括室「不正アクセスによる漏えい等の事案を踏まえた各機関による注意喚起等について」(2026年10月14日)
    https://www.cyber.go.jp/news/20261014.html
  2. IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」組織編
    https://www.ipa.go.jp/security/10threats/omgdg50000008fi8-att/kaisetsu_2026_soshiki.pdf
  3. 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」
    https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/
  4. 個人情報保護委員会「匿名加工情報」
    https://www.ppc.go.jp/personalinfo/tokumeikakouInfo/
  5. OpenAI「ChatGPT のデータ管理」
    https://help.openai.com/ja-jp/articles/7730893-data-controls-in-chatgpt
  6. OpenAI「モデルのパフォーマンスを向上させるためのデータの使用方法」
    https://help.openai.com/ja-jp/articles/5722486-how-your-data-is-used-to-improve-model-performance

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