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コラム

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その生成AIの使い方、大丈夫?採用担当者のNG入力と基本ルール


採用担当者と男性社員が応募書類を確認し、生成AIへの情報入力について話し合う様子

採用担当者が日常的に扱う、応募者の履歴書、面接記録、社員の人事評価。

これらの情報を、業務効率化のために生成AIへ入力していませんか?

ChatGPT、Gemini、Claudeなどの生成AIは、求人票の作成や文章の整理、面接質問の検討など、採用・人事業務のさまざまな場面で活用されています。

しかし、普段何気なく扱っている採用・人事情報の中には、生成AIへ安易に入力してはいけないものがあります。

特に、会社として利用ルールが明確になっていない場合、担当者が便利だと感じて使っていても、知らないうちに個人情報や企業の機密情報を外部サービスへ送信してしまうおそれがあります。

前回の記事では、生成AIに入力した情報の取り扱いや、そもそも個人情報とは何を指すのか、基本的な注意点を解説しました。

▼前回記事:
生成AIに入力してはいけない情報とは?個人情報・機密情報の注意点

今回はさらに採用・人事業務に踏み込み、生成AIのNG入力として注意したい情報5選と、実務で使える改善例、社内で守りたい基本ルールを具体的に紹介します。

1. 採用・人事業務で生成AIを使う際に注意したいこと

求人票の文章作成、採用広報の企画、面接質問の検討など、生成AIは採用担当者にとって便利なツールです。

一方、採用・人事業務では、多くの個人情報や機密情報を取り扱うため、その管理に十分な注意が必要です。

例えば、応募者の履歴書には氏名、住所、連絡先、職歴などが記載されています。

面接記録には応募者の発言や面接官の評価が含まれ、人事資料には給与や異動に関する情報が記載される場合もあります。

これらの情報を外部の生成AIサービスに入力すると、その内容がサービス提供元のシステムなどへ送信され、処理されることになります。

個人情報保護委員会は、生成AIサービスの利用に関する注意喚起を公表しています。

また、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、会社が承認していない生成AIを従業員が業務で利用する「シャドーAI」による情報漏洩リスクを指摘しています。

ただし、生成AIへの個人情報の入力が、あらゆる場合に法律で一律に禁止されているわけではありません。

利用目的やサービス提供元でのデータの取り扱い、安全管理措置、社内規程などによって判断は異なります。

重要なのは、担当者個人の判断で情報を入力するのではなく、会社が認めた環境とルールに従うことです。

2. 採用・人事担当者が生成AIに入力してはいけない情報5選

ここでは、一般向けの生成AIや、会社が承認していないサービスへ安易に入力すべきではない情報を5つ紹介します。

履歴書、面接記録、人事評価、採用計画、認証情報の5種類を示した図解

① 応募者の履歴書・職務経歴書

履歴書や職務経歴書には、氏名、住所、電話番号、学歴、勤務先、職務経験など、多くの個人情報が含まれています。

例えば、面接準備のために応募者の履歴書をPDFでそのままアップロードし、面接で質問すべき内容を考えてもらう使い方です。

質問を考えること自体は生成AIが得意とする作業ですが、実際の履歴書をすべて渡す必要があるとは限りません。

氏名を削除したとしても、珍しい経歴や資格、勤務先などの組み合わせから個人が特定される可能性があります。

面接質問の作成が目的なら、個人情報ではなく、募集職種と確認したい能力を伝える方法があります。

② 面接記録・応募者の評価コメント

面接の記録には、応募者の転職理由や過去の経験、面接官の評価などが含まれています。

例えば、応募者が前職を退職した理由や面接での発言をそのまま入力し、生成AIに性格や適性を分析してもらう使い方には注意が必要です。

個人情報を入力する問題に加えて、限られた発言から性格や適性を生成AIが推測し、それを担当者が信用してしまうおそれもあります。

面接記録を扱う場合は、本人を特定できる情報が含まれていないか、評価に利用することが適切かを確認する必要があります。

③ 社員の給与・人事評価・健康情報

人事担当者が管理する給与一覧、賞与査定、人事評価、健康診断結果なども、慎重に扱うべき情報です。

例えば、社員の評価コメントの作成や、給与一覧を使った昇給対象者の分析を生成AIに依頼する場合です。

氏名を社員番号に置き換えても、部署、役職、年齢、給与額などから本人が分かる場合があります。

特に病歴や障害に関する一定の情報などは、法律上の要配慮個人情報に該当する場合もあります。

人事分析に生成AIを利用する場合は、会社が承認した環境で、必要な情報だけを取り扱うことが基本です。

④ 未公開の採用計画・経営情報

個人情報だけでなく、企業の機密情報にも注意が必要です。

例えば、来年度の採用人数、採用予算、新規事業に伴う増員計画、組織再編、未発表の人事異動などです。

これらは個人情報に該当しなくても、社内で閲覧できる人が制限されている場合があります。

求人票の作成を生成AIに依頼する際も、未公開の経営計画や採用予算まで入力する必要があるのか、慎重に考えましょう。

⑤ 採用管理システムのログイン情報・認証情報

採用管理システムのパスワード、APIキー、認証コードなどは、生成AIに入力してはいけない代表的な情報です。

例えば、システムのエラーについて生成AIに質問するため、管理画面のスクリーンショットをそのまま送る行為にも注意が必要です。

画面内に認証情報や応募者の個人情報が表示されている可能性があります。

システムの不具合を相談する場合は、認証情報を取り除き、必要なエラーメッセージや状況だけを伝えるようにしましょう。

これらの情報は、会社が認めていないサービスや、データの取り扱いを確認できていない環境には、安易に入力しないことが基本です。

3. 生成AIのNG入力例と改善例

生成AIを安全に活用するうえで大切なのは、何でも入力しないことだけではありません。

業務の目的を整理し、必要な情報だけを生成AIに伝えることも重要です。

例えば、次のような書き換えが考えられます。

例① 面接質問を考えたい場合

【NG例】
「添付した田中さんの履歴書を読んで、この人に聞くべき面接質問を10個考えてください」
※実際の履歴書を添付する想定。

【改善例】
「製造業の営業職で中途採用面接を行います。顧客対応力と課題解決力を確認する質問を10個考えてください」

応募者の個人情報がなくても、職種や確認したい能力を指定することで、面接質問の案を作成できます。

履歴書をそのままAIに入力するNG例と、職種や必要な能力だけを入力する改善例の比較図

例② 人事評価コメントを作りたい場合

【NG例】
「営業部の佐藤さんは勤続10年、昨年度の売上は○○円で、上司からの評価は△△です。評価コメントを作ってください」

【改善例】
「営業職の人事評価で使用するコメント例を作成してください。評価項目は顧客対応力、目標達成への取り組み、チームへの貢献です」

実際の社員情報を入力する代わりに、評価項目を指定して文章のひな形を作る方法です。

例③ 求人票を改善したい場合

【NG例】
「来年度の未公開採用計画と人件費予算を添付するので、求人票を改善してください」

【改善例】
「未経験者向けの製造スタッフの求人票を改善してください。仕事内容は機械操作、製品検査、梱包です。高校生にも分かりやすい文章にしてください」

求人票の改善に必要な公開可能情報だけを入力します。実際の給与や勤務条件などを使用する場合も、社内で公開・入力が認められている情報か確認しましょう。

なお、これらは情報入力のリスクを減らすための例です。

個人情報を削除しただけで、すべての情報が安全になるわけではありません。

部署や経歴などの組み合わせで個人を特定できないか、社外秘の情報が含まれていないかも確認することが重要です。

4. 採用担当者が守りたい生成AI利用の5つの基本ルール

社員2人がホワイトボードの資料を見ながら採用業務について話し合う様子

ここまでの内容を踏まえ、採用担当者が日常業務で守りたい基本ルールを5つに整理します。

ルール① 会社が許可した生成AIを使用する

個人アカウントで使い慣れている生成AIでも、会社の情報を入力してよいとは限りません。

会社が認めたサービスと利用方法を確認しましょう。

また、同じ生成AIでも個人向けと法人向けでは、データの取り扱いや管理機能が異なる場合があります。

無料版・有料版という区分だけで判断せず、契約内容や利用設定まで確認することが大切です。

ルール② 個人情報・機密情報を安易に入力しない

履歴書、面接記録、人事評価、未公開の採用計画などを扱う場合は、社内の利用ルールに従うことが重要です。

業務上どうしても必要な場合には、利用目的や安全管理措置などを確認し、会社が承認した環境で取り扱いましょう。

ルール③ 必要最小限の情報だけを入力する

生成AIに仕事を依頼する際は、資料全体を渡すのではなく、目的に必要な情報だけを伝えましょう。

実在する応募者の情報を使わず、一般的な条件や架空の例に置き換えられないか考えることも有効です。

例えば、面接質問を考えるのであれば、応募者の履歴書そのものではなく、募集職種や確認したい能力を入力する方法があります。

ルール④ AIの回答や評価をそのまま信用しない

生成AIが作成した文章には、事実と異なる内容や不適切な表現が含まれる場合があります。

特に求人条件、給与、福利厚生、労働法令などに関する内容は、必ず公式資料や社内情報と照合しましょう。

また、応募者の評価や選考判断に生成AIを利用する場合は、さらに注意が必要です。

厚生労働省は、公正な採用選考について、応募者の適性・能力に基づいて判断することを基本としています。

生成AIの分析には誤りや偏りが含まれる可能性があり、限られた情報から応募者の性格や適性を正確に判断できるとは限りません。

AIが出した評価をそのまま採用・不採用の判断に使用せず、担当者が適切な基準に基づいて確認することが重要です。

ルール⑤ 誤って情報を入力したら速やかに報告する

万が一、入力してはいけない情報を送信してしまった場合は、自己判断で済ませず速やかに社内の責任者へ報告しましょう。

どのサービスに、いつ、どのような情報を入力したのかを確認し、必要な対応を検討します。

会社側では、情報の種類や送信先、データの保存・共有状況などを把握し、必要に応じてサービス提供元への問い合わせや個人情報保護法上の対応を検討することになります。

チャット履歴を削除するだけで、送信済みの情報が完全に消去されたと判断しないことも大切です。

5. 中小企業こそ、生成AIを禁止するより「使い方」を決めよう

女性社員が男性社員のノートPC画面を指し、生成AIの利用について説明する様子

生成AIの情報管理に不安があるからといって、すべての利用を禁止することが最適とは限りません。

特に中小企業では、一人の担当者が採用活動、求人票の作成、面接の調整、社内資料の準備など、幅広い業務を担当している場合があります。

生成AIを適切に活用できれば、文章作成や情報整理の負担を減らし、本来時間をかけるべき応募者とのコミュニケーションなどに集中しやすくなります。

一方、社内で明確なルールがなければ、従業員が個人の判断で生成AIを使い、会社が利用実態を把握できなくなるおそれがあります。

IPAも、未承認のAI利用である「シャドーAI」を情報管理上の課題として取り上げています。

まずは、社内で次の項目を共有することから始めましょう。

  • 業務で使用してよい生成AIサービス
  • 入力してはいけない情報の種類
  • 個人情報を扱う場合の承認・確認方法
  • 生成AIの回答を確認する責任者
  • 誤入力やトラブルが発生した場合の報告先

これらは、社内ルールを整備するための基本項目です。

実際には、会社が取り扱う情報や契約しているサービスに合わせて、具体的な運用方法を決める必要があります。

最初から複雑な規程を作ろうとするのではなく、まずは担当者がどのような業務で生成AIを使用しているのかを把握し、入力情報や利用環境を確認することが重要です。

大切なのは、生成AIを使うか使わないかではなく、どの業務で、どの情報を使ってよいのかを明確にすることです。

まとめ|生成AIは「入力する情報」を選べば、採用業務の味方になる

社内研修で生成AIの利用ルールを説明し、社員が説明を聞いている様子

生成AIは、採用・人事担当者の業務を効率化する便利なツールです。

しかし、応募者の履歴書、面接記録、社員の人事評価などを、会社が承認していない生成AIへ安易に入力することは避けるべきです。

今回紹介したポイントは、大きく3つあります。

1. 履歴書・面接記録・人事評価など、個人情報や機密情報を含む資料は、安易に生成AIへ入力しない。

2. 生成AIには、実在する個人の情報ではなく、職種や評価項目など、目的に必要な情報を伝える。

3. 会社として利用ルールを整備し、AIの回答や評価は必ず人が確認する。

生成AIは、採用担当者の仕事をすべて代わりに行うものではありません。

情報を適切に管理しながら、文章作成やアイデア出しなどに活用することで、採用業務を支える心強いツールになります。

まずは、日常の仕事で生成AIにどのような情報を入力しているのかを見直すことが、安全な活用への第一歩となるでしょう。

参考資料・出典

  1. 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」
    https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/
  2. IPA「AI利用者のためのセキュリティ豆知識」(2026年4月2日公開)
    https://www.ipa.go.jp/digital/ai/security/ai_security_tips.html
  3. IPA「セキュリティ担当者のための生成AIセキュリティ」(2026年7月31日更新)
    https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2026/ai-security.html
  4. 厚生労働省「公正な採用選考の基本」
    https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/basic.html
  5. 厚生労働省「採用選考時に配慮すべき事項」
    https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/consider.html

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