「採用にSNSを使ってみたい。でも、InstagramとTikTokならどちらがいい?」「若い人を採用したいなら、とりあえずTikTokを始めるべき?」
SNS採用に興味を持ったとき、最初に迷いやすいのが「どのSNSを使うか」です。
しかし、採用SNSの始め方で大切なのは、いきなりSNSを選ばないこと。
まず考えたいのは、誰を採用したいのか、その人に何を伝えたいのかです。そこから、伝えたい内容と相性がよく、自社でも継続できるSNSを選びます。
第1回では、SNS採用には「会社を知ってもらう」「求人票では見えにくい仕事や人を伝える」といった役割がある一方、継続的な運用が必要であることをお伝えしました。
本記事は、全5回でお届けする「SNS採用」連載の第2回です。
今回は、Instagram・TikTok・YouTube・Xなどを比較しながら、中小企業がSNS選びで失敗しないための順番と、運用を続けるための最初の設計を考えていきます。
1.SNS採用は「どのSNSを使う?」から始めない
SNS採用を始めようとすると、
「採用ならInstagramかな」
「若い人ならTikTokでは?」
と、SNSから決めてしまいがちです。
しかし、この順番では途中で運用が止まりやすくなります。
マイナビキャリアリサーチLabが2026年2月27日に公開した「2026年1月度 中途採用・転職活動の定点調査」では、従業員50名以下の企業で、採用活動にSNSや動画プラットフォームを「全く活用していない」と回答した割合は57.4%でした。
また、SNS等を採用活動で活用していない278件に理由を聞いたところ、
「情報発信の担当者がいない。用意できない」41.0%
「投稿内容に関するリスク管理などルールが決められない」30.9%
「何を情報発信してよいか分からない」24.1%
となっています。
出典:株式会社マイナビ「2026年1月度 中途採用・転職活動の定点調査」(2026年2月27日公開)
SNSの操作方法以前に、
「誰がやるのか」
「何を投稿するのか」
「どんなルールで運用するのか」
という部分が、実際の壁になっていることがわかります。
だからこそ、最初に考えるべきなのはどのSNSを使うか、ではありません。
誰に?
何を?
どのSNSで?
どう続ける?
この順番から考えていきましょう。

2. STEP1|まず「誰を採用したいか」を決める
最初に決めたいのが、採用ターゲットです。
ここで、
「若い人がほしい」
「いい人が来てくれれば」
だけで終わらせないことがポイントです。
たとえば、同じ製造業でも20代の未経験者を採用したい会社と、経験のある技術者を採用したい会社では、求職者に伝えたいことが違います。
未経験者なら、
「自分でもできるのか」
「どうやって仕事を覚えるのか」
「どんな先輩が教えてくれるのか」
という不安を持つかもしれません。
一方、経験者なら、
「どんな機械や設備を扱うのか」
「今までの経験をどう活かせるのか」
「働き方や待遇はどうなのか」
といった情報が判断材料になることも考えられます。
これは特定の調査結果ではなく、採用ターゲットを整理する際の考え方の一例です。
年齢や経験だけでなく、「応募するとき、どんな疑問や不安を持ちそうな人なのか」まで考える。
ここまでできると、次に伝えるべき内容が見えやすくなります。
3. STEP2|その人に「何を伝えるか」を決める
ターゲットが決まったら、次は発信内容です。
ここでも、「会社として何を投稿したいか」だけで考えないことが大切です。
求職者が会社を選ぶために、何を知りたいのか。という視点を加えます。
たとえば、
仕事内容を知らない人には、仕事の流れ。
未経験で不安な人には、教育や研修。
職場の雰囲気が気になる人には、社員や働いている様子。
入社後をイメージしてほしいなら、社員の1日。
といった考え方です。
2026年1月のマイナビ調査では、SNSや動画プラットフォームで採用情報を発信している企業563件のうち、発信内容は複数回答で、
「採用情報」70.0%
「会社の事業内容や概要」65.0%
「会社のサービスや商品製品」55.1%
「社員の雰囲気やオフィスの様子など」54.2%
でした。
つまり、採用SNSだからといって、募集要項だけを発信する必要はありません。
会社・仕事・人・働き方。
伝えられる情報はいくつもあります。

4. STEP3|ターゲットと発信内容からSNSを選ぶ
ここまで整理して、ようやくSNSを選びます。
まず知っておきたいのは、企業が使っているSNSと、求職者が情報収集に使っているSNSは完全には一致しないということです。
2026年1月のマイナビ調査では、採用活動でSNS等を使って情報発信している563件が利用していた媒体は、複数回答で次の通りでした。
X 56.3%
Instagram 54.9%
YouTube 47.4%
Facebook 42.8%
TikTok 26.6%
一方、転職活動でSNS等から情報収集している942人では、
YouTube 68.1%
X 58.4%
Instagram 51.8%
TikTok 31.1%
Facebook 29.9%
という結果でした。
出典:株式会社マイナビ「2026年1月度 中途採用・転職活動の定点調査」(2026年2月27日公開)
ここから「YouTubeが一番良い」「Xを使えば採用できる」と結論づけることはできません。
調査対象は中途採用・転職活動であり、企業の業種や採用ターゲットによって適した媒体も変わるからです。
SNSを選ぶときは、利用率だけではなく、
採用したい人 × 伝えたい内容 × 自社が作り続けられるコンテンツ
で考える必要があります。
5. Instagram・TikTok・YouTube・X、どう使い分ける?
では、自社ではどのSNSを選べばよいのでしょうか。
ここからは調査結果による「正解」ではなく、各SNSの投稿形式を踏まえた運用方法の一例として整理します。
Instagram|会社の日常を蓄積して見せる
社員紹介、職場紹介、仕事内容、福利厚生など、複数のテーマを写真・画像・動画で発信する運用が考えられます。
投稿を継続していけば、プロフィールを訪れた求職者が、過去の発信をまとめて見ることもできます。
「会社について少しずつ知ってもらいたい」
という運用方法の一つです。
TikTok|仕事や人を動画で見せる
仕事の動き、社員の声、職場の様子などを動画として見せる方法が考えられます。
TikTok for Businessの公式サイトでも、動画を中心としたクリエイティブ制作・発見の仕組みが案内されています。
ただし、「若者採用だからTikTok」と決めるのは注意が必要です。
マイナビが2027年卒の大学生・大学院生2,151名を対象に行った調査では、「よく利用するSNS」は、Xが男子70.2%・女子71.6%、Instagramが男子61.2%・女子78.4%、TikTok・TikTok Liteが男子22.6%・女子38.7%でした。
出典:株式会社マイナビ「2027年卒 大学生のライフスタイル調査<将来像・就職活動について>」(2026年3月31日公開)
少なくともこの調査では、学生だからTikTokだけを見ている、という結果ではありません。
YouTube|短くも、詳しくも見せる
YouTubeでは通常の動画に加え、ショート動画(Shorts)も利用できます。
たとえば、
Shortsで仕事を短く紹介する。
詳しい社員インタビューや会社紹介は通常の動画で見せる。
という使い分けも可能です。
X|情報をこまめに発信する
採用イベント、求人情報、仕事中の出来事などを文章中心で発信する運用が考えられます。
写真や動画を毎回用意することが負担になる会社なら、文章を軸に発信内容を考える選択肢もあります。

6. STEP4|自社に合った「投稿の型」まで考える
SNSを決めたら、もう一つ決めておきたいことがあります。
何を、どんな形で繰り返し投稿するのか、という「投稿の型」です。
たとえば製造業なら、
「今週の仕事紹介」
「社員インタビュー」
「機械・設備紹介」
建設業なら、
「現場のビフォーアフター」
「社員の1日」
「仕事道具紹介」
といった形が考えられます。
ここで挙げた例は一般的な運用アイデアであり、特定の調査結果に基づくものではありません。
重要なのは、他社の成功事例で伸びた投稿をそのまま真似することではなく、自社の中に継続して存在する情報をフォーマットにすることです。
社員紹介なら、社員を変えて続けられる。
仕事紹介なら、職種や工程を変えられる。
よくある質問なら、質問を変えて続けられる。
「毎回、新しい企画を考える」のではなく、同じ型に、新しいネタを入れる。
この状態をつくっておくと、運用の負担を減らしやすくなります。
そして、フォーマットを決めるためには、最初に会社の中から継続して拾えるネタを探すことも必要です。
これは第3回でさらに詳しく取り上げます。

7. STEP5|誰が運用するのかを決めておく
SNSと投稿テーマを決めても、
「で、誰がやる?」
が決まっていなければ運用は止まります。
先ほど紹介したマイナビ調査でも、SNS等を採用に利用していない理由の1位は、「情報発信の担当者がいない。用意できない」の41.0%でした。
最初から専任のSNS担当者を置けない会社もあるでしょう。
その場合でも、
誰が社内からネタを集めるのか。
誰が文章や画像を作るのか。
誰が内容を確認するのか。
最低限、この役割は決めておきたいところです。

そして長期的には、一人の担当者だけがわかる運用にしないことも重要です。
投稿のフォーマット。
ネタの探し方。
投稿までの手順。
確認するときのルール。
こうしたものを少しずつ共有し、最終的には社内でも無理なく続けられる状態を目指す方法があります。
最初からすべて自社だけで行うのが難しければ、立ち上げ時に外部の知見を使い、運用しながら自社に合う方法を蓄積していく考え方もあります。
SNS運用をずっと誰かに任せるか、最初からすべて自社で行うか。
その二択だけではありません。
8. SNSを見た「その先」まで設計する
最後に忘れてはいけないのが、SNSを見た人の次の行動です。
SNSで仕事紹介を見る。
プロフィールを確認する。
採用Webサイトへ進む。
募集要項を見る。
応募する。
こうした導線です。

2026年3月31日公開のマイナビ調査では、就職活動でSNSを活用する方法として「企業ページを閲覧」が80.0%で最も多く、「企業の最新情報を手に入れる」が44.7%でした。
SNSのフォロワーを増やすことだけが、採用の目的ではありません。
興味を持ってくれた人が、「もっと会社について知りたい」と思ったときに、その先へ進める状態にしておきましょう。
まとめ
SNS選びで失敗しないために、最初に考えるべきなのは、
「InstagramかTikTokか」
ではありません。
まず、誰を採用したいのか。
次に、その人に何を伝えたいのか。
そして、何を継続して発信できる会社なのか。
ここまで整理してから、SNSを選びます。
さらに、使うSNSが決まったら、
投稿のフォーマット。
ネタを見つける方法。
運用する人。
投稿を確認する体制。
SNSから採用Webサイトへの導線。
まで考えておく。
SNS採用は、アカウントを開設することがスタートではありますが、ゴールではありません。
自社に合った発信方法を見つけ、それを続けられる形にすること。
そこまで含めてSNSを選ぶことが、中小企業の採用SNSでは重要です。
では、実際に運用を始めたとき、
「社員紹介はもう投稿した」
「会社紹介もした」
「次は何を投稿したらいい?」
となったらどうすればよいのでしょうか。
次回予告|第3回「ネタ切れしない投稿テーマと「続けられる型」の作り方」
第3回では、採用SNSの「ネタ探し」と「投稿フォーマット」をさらに掘り下げます。
社員紹介。
仕事紹介。
一日の流れ。
福利厚生。
よくある質問。
動画コンテンツ。
こうした題材を、どう会社の中から見つけるのか。
そして、毎回ゼロから企画せず、自社に合った投稿の型として蓄積していく方法をご紹介します。
SNSを「選ぶ」段階から、次は「続けて発信できる状態をつくる」段階へ進みます。
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